Akiba Research Institute Interviews Iwakami

From Puella Magi Wiki
Revision as of 14:05, 20 December 2013 by Yorkwoo (talk | contribs) (Copy original text for translation)
(diff) ← Older revision | Latest revision (diff) | Newer revision → (diff)
Jump to navigation Jump to search

Akiba Research Institute Interviews Iwakami

Source: http://akiba-souken.com/article/anime/18622/

Toggle original text:
ARI:
Iwakami:
ARI:
Iwakami:
ARI:
Iwakami:
ARI:
Iwakami:
ARI:
Iwakami:
ARI:
Iwakami:
ARI:
Iwakami:
ARI:
Iwakami:
ARI:
Iwakami:
ARI:
Iwakami:
ARI:
Iwakami:
ARI:
Iwakami:
ARI:
Iwakami:
ARI:
Iwakami:
ARI:
Iwakami:
ARI:
Iwakami:
ARI:
Iwakami:
ARI:早速、企画の発案からお伺いしたいと思います。熱狂的な支持を集めたTVシリーズ「魔法少女まどか☆マギカ」ですが、劇場版新作をTVシリーズの“続編”という位置付けにした一番の理由は何だったのでしょうか?
岩上氏:スピンオフや、別の時間軸でやるというアイデアもあったんですけど、続編が一番難易度が高いと思ったんですよね。原作の「Magica Quartet」とも、だからこそ取り組もうという話をしました。彼女たちの“日常編"を描くというアイデアなど、選択肢もいろいろあったのですが、やっぱり「まどか」はストーリーが軸。だからこそ、あの後の物語を描こうと。簡単ではないけれど、そこにチャレンジしようと思ったんです。
ARI:劇場版としての続編の制作は、TVシリーズ終了後に即決定したのですか?
岩上氏:当初は「何かやりたいですね」と、ブレスト的に話をしていただけです。新房さんからは魔法少女たち全員がもう一度活躍する物語にしたいと希望がありました。それで虚淵さんから「こんなストーリーどう?」って具体的なアイデアが出てきて、これだったらTVシリーズではなく劇場版にしようと。アイデアがあって初めて、劇場版というフォーマットが決まったんです。それはTVシリーズが終わった後でしたね。
ARI:大ヒットの要因としてキャラクターたちの人気も大きいと思います。TVシリーズで散っていった彼女たちがどのように戻ってくるのだろうと、ファンは期待していたと思います。
岩上氏:TVシリーズの放送中にも、新房総監督から「さやかは生き返らないの?」って話が出たくらいですからね(笑)。TVシリーズを12話作って、キャラクターたちが思っていた以上に魅力的になったので。彼女たちに新たな活躍の舞台を与えたいなという気持ちも強くありました。
ARI:岩上プロデューサーは、新房昭之総監督×脚本の虚淵玄さん×キャラクー原案の蒼樹うめさん×制作会社シャフトのコラボレーション「Magica Quartet」の発案者として知られていますが、改めてこの組み合わせに至った経緯を教えていただけますか?
岩上氏:よく聞かれるのですが、要するに面白そうと思ったからなんですよ。後付け的ですけど、虚淵さんのストーリーや魅力的なセリフを今までとは違うキャラクターが演じることで、見てくれる人の幅が広がるのかなという気持ちはありました。逆にうめ先生は、新房さんと一緒に「ひだまりスケッチ」をやっていましたけれど、同人誌とかだともうちょっとシリアスで、等身の高いキャラクターを描いていたんですね。そこでシリアスな表情のうめ先生のキャラクターもいいよねって。うめ先生にとっても、これまでとはまた違うものが描けるのではと。

「まどか☆マギカ」の企画が立ち上がったのは、新房さんとシャフトと組んだ「化物語」のオンエア前なんですが、「ひだまりスケッチ」の映像的想像力を本当にすごいなって思っていたので、このメンバーで制約の少ないオリジナルをやってみたいなって気持ちもありました。それぞれのメンバーの挑戦がうまくかみ合ったんだと思います。

ARI:企画当初から苦労した点、迷ったところなどは?
岩上氏:これが、本当にないんですよね。一般論で言うと、アニメのオリジナル作品ってゼロから作る上に、すごく多くの人間が関わる集団作業なので、少しずつ思わくの違いがあったり、苦労することの方が多いと思います。でも「まどか」ではそういった苦労が一切なかった。あるとすれば放送時期が遅れたくらいかな。もう少し早めにオンエアする予定で進めていたのですが、現場的な都合もあって。苦労がなかったって言っちゃうと何もしていないみたいだけど、プロデューサーとしてはうまくいっているときは仕事ないですから(笑)。
ARI:オリジナルアニメは未知数な広がりに大きな期待もありますが、原作モノと違いマーケットを把握しにくいという点で不安要素もあるかと思います。そこは、作品の面白さで突き抜けられるという確信がありましたか?
岩上氏:ええ、全くもってそれだけです。人によると思うけれど、僕はそういった不安はあんまりないです(笑)。単純に「これ見たいよね!」って感じでしたよね。ただ、僕だけがそう思っていても、社内で「これはないでしょ!」って声が多ければ実現はしない。今回は集まったクリエイターの実績と実力に後押しされた部分は大きいです。
ARI:少女たちの自己犠牲で成り立つ“魔法少女”という非常にユニークなコンセプトが、最大の魅力だったのでしょうか?
岩上氏:最初は魔法少女から入ってもらって、開けてみると実はストーリーがシリアスで、そういったギャップもコンセプトの1つでした。そこに一番こだわっていたのは新房さんですね。TVシリーズの丸みを帯びたロゴデザインや、タイトルに“魔法少女”という冠をつけたいという強いこだわり。新房さんは演出家としてもとてもすぐれているけど、お客さんにどう見てもらうかも非常に気にかける人なので、とにかくこだわりは強かったですね。
ARI:世界的にも注目を集めるアニメはオリジナル作品が圧倒的に多いですよね。先の読めない意外性や、伏線が謎を呼んで視聴者があれこれ考えながらハマっていくと展開で大きな広がりを見せています。
岩上氏:「まどか」の場合は、それが大きな魅力になると事前から考えていました。それはTVシリーズの時も新編の時も。続編であることは事前に観客に伝えていたけれど、あらすじなどはあえて出さずにいました。「お話の続きを教えて」という原初的な魅力はアニメオリジナルならではだと思います。

たとえば原作モノだと、劇場用のオリジナルゲスト敵キャラが出てきて、その敵と戦って倒して元のストーリーに戻るというのが宿命としてありますよね。「まどか」の場合は先がどうなるかわからない。それはやはりオリジナルアニメの魅力じゃないかなと思いますね。

ARI:新編ではストーリーもさることながら、アニメーション自体もまた新たな一歩を踏み込んでいる印象を受けました。
岩上氏:それは、新房総監督と宮本幸裕監督とシャフトの力に尽きますね。正直、僕らは上がってくるまで全然わからないですから。絵コンテからも変わってくるので。全カットに「こうしたら面白いんじゃないか」という創意工夫が込められている。そこは本当にすごい。仕上がった新編を見て、身内の僕らが見ても圧倒されるような完成度でした。
ARI:脚本の虚淵さんは、これまでの作品でバッドエンディングを指向することが多かったような気がします。しかし「まどか☆マギカ」は、テレビ版も新編もいわゆるバッドエンドらしくはないですよね。周囲が意図的にグッドエンディングを希望したのでしょうか?
岩上氏:そういえば、以前みんなで打ち合わせをしている時に、蒼樹うめ先生が「最終回は気持ちよく終わりたいですよね」的な意味合いのことをぼそっと言ったんですよね。ああいうのは意外と虚淵さんに響いているかもしれない(笑)。

うめ先生のキャラクターが演じるということ自体が、虚淵さんに影響を与えていたのかもしれないですしね。虚淵さんらしくかつ感動的で、絶妙なエンディングになったと思います。

ARI:観客の反応は本当にさまざまで、4~5回見るファンもざらにいます。その繰り返し何度も見たくなる魅力とは、いったい何だとお考えですか?
岩上氏:何度も見たくなるって僕も思いますよ(笑)。商売抜きに「何度も見てね!」って言える映画ってそんなにないじゃないですか。新編は僕自身も何度も見たいと思うし、とにかく情報量が多いので、1回だけでは消化しきれない部分もありますし。アニメ史的にも、映画史的にも「こういう映画他にないよね」ってものになっていると思います。
ARI:劇場は、中高生を含む若者の熱気で溢れ返っていました。本作のどんな要素が、そこまでティーンたちの心をわしづかみにしているのでしょうか?
岩上氏:うーん、どんなところでしょう。ちょっと違う答えになってしまいますが、今は「わかりやすくないとダメ」という意見も多い中、見る人のリテラシーと言っていいのかわからないけど、新編は観客にもいろいろなものを要求する映画だと思うんです。誰にでも受け入れられる作品じゃないなとは思っていたので、その思いを分かち合えて嬉しい感じはあります。
ARI:魔法少女たちが直面する“希望”と“絶望”のフェーズを超越し、暁美ほむらが新たな局面へと到達した新編。さらなる続編への期待も高まりますが、現時点で続編の計画はあるのでしょうか?
岩上氏:できるものならと、僕は思っていますけど。今のところは何もないです。あれで終わりです。TVシリーズを終えて次をやりましょうよという話が出たときも、虚淵さんから非常に面白いアイデアが上がってきたので、やろうという流れになった。そこは、やはりアイデアありきで、それがなければ新編も存在しなかったかもしれない。新編の続きがあるかどうかは「Magica Quartet」の皆さんと話して、これなら「まどか」の次として面白いというものが上がってくれば、ぜひやりたいですね。
ARI:岩上プロデューサーがアニメ業界に入ろうと思ったきっかけ、影響を受けた作品などはありますか?
岩上氏:小中学生の時は完全なガンダム世代だったので、その流れからサンライズのアニメが好きでアニメ雑誌を読みあさっていました。あとは「風の谷のナウシカ」だったり角川アニメ映画だったり。この頃は純粋なアニメファンの視点ですね。大学時代は映画が大好きで、実写映画ばかり見ていました。特に昔の映画が好きで、ヒッチコックなんかをよく見ていましたね。当時はもう商業映画を作って生きていきたいと思っていたので、人を楽しませる映像ってどんなものだろうといつも考えていました。その2つの時期がミックスして、今の軸になっている感じです。
ARI:プロデューサーという立場は、監督をはじめとした制作サイドの作家性と、観客のもつ客観性とのちょうど中間でバランスをとるものですよね。
岩上氏:おっしゃる通りだと思います。僕は自分で絵を描いたりはできないけれど、面白がる才能はあるのかもしれませんね。それこそ視聴者的な感覚といいますか。
ARI:「鉄腕アトム」「ルパン三世」「宇宙戦艦ヤマト」「機動戦士ガンダム」「新世紀エヴァンゲリオン」など、各時代を象徴するような名作は多数存在しますが、「魔法少女まどか☆マギカ」もまた新たな時代を代表するような作品になったと思います。
岩上氏:そう言ってもらえるのは嬉しいです。5年後、10年後にもそう言われている作品になっていたらもっと嬉しいですね。
ARI:最後になりますが、業界の最前線を走り続けるプロデューサーとして、目指していきたい作品作りのポリシーなどはありますか?
岩上氏:常々言っていることですが、とにかく面白い作品を作りたい。本当にそれだけです。