The Beginning Story: Episode 1

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第一話「夢の中で違った、ような:・:J』

Part A

Within a Dream 夢の中
A city ablaze. 燃えさかる市街地。
A monstrous creature, "Walpurgisnacht," unleashes violence upon the city. 巨大な怪物『ワルプルギスの夜』が、暴虐の限りを尽くしている。
One figure faces such a monster alone, a girl. Homura transforms in desperation. そんな怪物と、単身、必死に戦っている少女の姿。変身したほむらである。
Her body full of scars, she looks to break down at any moment. 満身創痕で、今にも倒れそうなほむら。
Madoka watches Homura from afar. Kyubey sits by her side. その様子を、炎の中から見守っているまどか。傍らにはキュゥベえの姿がある。
Madoka: "How awful!" まどか「ひどい...」
Kyubey: "There's nothing you can do. It's too much for her to handle alone. She knew this prior to coming." キユウべえ「仕方ないよ。彼女一人では荷が重すぎた。でも、彼女も覚悟の上だろう」
Homura winces in pain. Madoka can bear it no longer. 痛めつけられるほむらの姿。見るに堪えないまどか。
Madoka: "But this is terrible! It shouldn't be happening!" まどか 「そんな...あんまりだよ! こんなのってないよ!」
Homura shouts something towards Madoka, even amidst her battle, but her voice cannot be heard. ほむら、戦いながらもまどかに向かって何かを叫ぶ。だがその声は聞こえない。
Kyubey: "It's all over if you give up." キユウベえ「諦めたら、それまでだ。でも君なら運命を変えられる」
An image crosses Madoka's mind, mangled bodies, too horrible to see. まどかの脳裏をよぎる、見るも無惨な遺体のイメージ。
What were Mami Tomoe and Sakura Kyouko. 巴マミと佐倉杏子のものである。
Kyubey: "But you have the ability to change fate. This unavoidable destruction and sorrow... You can change it all. You have the power to do just that." キユウベえ「避けようのない滅びも、嘆きも、すべて君が覆せばいい。そのための力が、君には備わってるんだから」
At the sight of such terrible tragedies, her mind goes blank. She asks Kyubey with a coarse voice. あまりの惨劇の光景に、頭の中が真っ白に。かすれた声でキユウベえに問う。
Madoka: "Can I really?" まどか「...本当なの?」
Homura's breathes are shallow and her body is covered in blood. With her last breath, she she shouts towards Madoka... but she is too far to be heard. 既に血まみれで虫の息のほむら。それでも彼女は最後のカで、まどかに向かって叫ぶ...が、声は聞こえない。
Madoka: "Can I do really something to stop all of this? Can I really change this ending?" まどか「私なんかでも、本当に何かできるの?こんな結末を変えられるの?」
Kyubey: "Of course you can!" キユウベえ「もちろんさ」
Kyubey flashes an sweet yet suspicious smile. 胡散臭いほどに愛らしいキユウべえの笑顔。
Kyubey: "So make a contract with me... and become a magical girl!" キユウベえ「だから僕と契約して、魔法少女になってよ!」

口まどかの部屋 目覚まし時計の騒音。はっとして目覚めるまどか。ベッドの中にいる。 カーテンの隙聞から朝の光。見慣れた自分の部屋の中を、ぼんやりと見渡すまどか。 まどか「:::はうう:::夢オチ:::?」

口鹿目家の庭 自室の窓のカーテンを開けるまどか。二階の東側である。 窓から見下ろす庭では、父の知久がガ-デニングに励んでいる。 朝食のためのプチトマトを摘んで、満足げな知久。 まどか「おはよ~、パパ」 知久「おはよう。まどか」 まどか「ママは~?」 知久「タツヤが行ってる。手伝ってやって」 まどか「は-い」

口両親の寝室 ベッドの中で布団にくるまり亀になっている母、拘子。 そこに三歳児の長男、タツヤがぽかぽかと殴る蹴るの応酬を浴びせている。 タツヤ「ま~まッ! あ~さッ! あ~さッ!」 タツヤの懸命な攻撃にも、詢子、まったく動じず惰眠。 そこに楓爽とドアを開けて登場するまどか。 一気にカーテンを聞き、拘子の布団をひっぺがす。 まどか「起きろ-ッ!」 絢子「ひゃああああツ!?」 光の舷しさに七転八倒する絢子。

口洗面所 鏡の前で並んで歯を磨いているまどかと詢子。詢子はまだ寝起きの冴えない顔。 詢子「最近、どんなよ?」 まどか「仁美ちゃんがまたラブレターもらったよ。下駄箱にr今月二通日」 詢子「ふん、手渡しする根性ねえようじゃ駄目だな」 詢子はあっさり歯磨きを終えて洗顔開始。まどかはまだもたついている。 詢子「和子はどう?」 まどか「センセーはまだ続いてるみたい。ホームルームで惚気まくりだよl。今週で三ヶ月日だから、記録更新だよ ね」 まどかがノンビリ顔を洗い、手探りでタオルを探している間に、詢子は神業的なスピードでメイクを進めていく。 詢子「さあどうだか。今が一番危なっかしい頃合いだよ」 まどか「そうなの?」 髪をまとめるのに手間取るまどか。なかなか寝癖をごまかしきれない。 詢子「本物じゃなかったら、大体この辺でボロが出るもんさ。まあ釆り切ったら一年はもつだろうけど」 まどか「ふーん」 詢子はメイクの仕上げ。つい数分前までの寝惚け顔とは一転した、凛然たるキャリアウーマンに大変身。一方でまどかは、髪をまとめるリボンを決めかねて迷っている。 地味な色と、派子な色。 まどか「...リボン、どっちかなあ?」 詢子「こっち」 即答けで派手な方を選ぶ詢子o まどか「え!? ...派子すぎない?」 詢子「それぐらいでいいのさ。女は外見で舐められたら終わりだよ?」 おっかなびっくり、慣れないリボンをつけてみるまどか。 やや緊張気味。 詢子「...うん、いいじゃん。これならまどかの隠れファンもメロメロだ」 まどか「いないよぉ、そんなの」 詢子「いる、と思っておくんだよ。それが美人の秘訣」

ロダイニングキッチン 食卓で朝食を囲んでいる鹿日家一同。詢子はリクルートス-ッ。まどかは制服。知久はエプロン姿で甲斐甲斐 しく配膳している。 乳児用の椅子で、まだ慣れぬフォークとスプーンで悪戦苦闘しているタツャ。その隣で詢子は、右手一本でトー ストを囓りつつコーヒーを飲みつつ、さらにタツヤの食引の補助までするというマルチタスクをこなしながら、左手で持った新聞の紙面にずっと日を走らせている。 知久「コーヒー、おかわりは?」 詢子「ん、いいや」 詢子、時計を確認し、飲み残しのコーヒーを一気に呻る。 詢子「おっし、じゃあ行ってくる!」 知久、まどか「いってらっしゃい」 タツヤ「い-てらさ-い!」 詢子は知久とタツヤの額にキスし、まどかとハイタッチを交わしてから颯爽と出て行く。 知久「さ、まどかも急がないと」 まどか「う、うん」 まだ食べかけの朝食を慌ててベースアップするまどか。 知久はタツヤに幼稚園の制服を着せ始める。

口鹿日家玄関 まどか、トーストの最後の一口を頬張りながら、玄関から爽やかな陽射しの中へと飛び出していく。 まどか「いってきま-す!」

口通学路 通学途中の生徒の群れ。 その中に、並んで談笑している美樹さやかと志筑仁美。 後から小走りにやってきたまどかが、二人の間に合流する。 まどか「おつはよ-」 仁美「おはようございます」 さやか「まどか、避-い」 やや息を切らせているまどか。その髪の真新しいリボンに気付くさやか。 さやか「おっ、可愛いリボン」 まどか「そ、そうかな...派手すぎない?」 仁美「とても素敵ですわ」 x x x 雑談しながら、通学路を行く三人。 まどか「--でね、ラブレターは下駄箱じゃなくて手渡しでなきゃ駄目だって」 さやか「相変わらずまどかのママはかっこいいなあ。美人だし、バリキャリだし」 仁美「そんな風にきっぱり割り切れたらいいんだけど...はぁ、返事、どうしようかしら...」 さやか「羨ましい悩みだねえ」 まどか「いいなあ。私も一通ぐらいもらってみたいなあ。ラブレター」 うっとりと肱くまどかに、さやかが悪戯っぽい視線を向ける。 さやか「ほおー、まどかも仁美みたいなモテモテな美少女にそこでまずはリボンからイメチェン変身したいと?そこでまずはリボンからイメチェンですかな?」 まどか「ち、違うよぉ、これはママが...」 さやか「さてはママからモテる秘訣を教わったな!! けしからん!そんな破廉恥な子はこうだ!」 さやか、まどかに抱きついてくすぐりにかかる。必死に抵抗するまどか。 まどか「ゃ、やッ、ちょっと!やめてえ」 さやか「わはははっ。可愛いやつめ。でも男子にモテようなんて許さんぞー。まどかはあたしの嫁になるのだ!」 まどか「いやーツ」 仁美「...こほん」 慎ましやかに咳払いする仁美。はっとして我に返るさやかとまどか。周囲を歩く学生たちからの奇異の視線に気付く。 赤面してたじたじになる二人。

口教室 チャイムが鳴る。朝のホームルーム。 教壇に立って荒々しく山席簿を叩きつける担任教師、早乙女和子. 和子「...今日は皆さんに大事なお話があります。心して聞くように」 ただならぬ和子の剣幕に、やや息を呑むクラスの生徒たち。 和子「目玉焼きとはッ、固焼きですかッ?それとも半熟ですか!?はい中沢くん!?」 いきなり指名され、ややピピりつつも強張った愛想笑いをつくろう男子生徒、中沢くん。 中沢「えと...どっちでもいいんじゃないか、と...」 和子「その通り!どっちでも宜しい!たかが卵の焼き加減なんかで女の魅力が決まると思ったら大間違いです!」 ますます気炎を上げる和子、ちなみに婚期テンパイのお年頃。 和子「女子の皆さんはくれぐれも!半熟じゃなきゃ食べられないとか抜かす男とは交際しないように!そして男子の皆さんは絶対に、卵の焼き加減にケチをつけるような大人にならないこと!」 誰からともなくクラス中に湧き起こる溜息の数々。 さやかM『ーー駄目だったかーー』 まどかM『ーー駄目だったんだねえーー」 言いたいことを言った和子はクールダウンして次の話題に。 和子「はい、あとそれから。今日は皆さんに転校生を紹介しまーす」 あまリの唐突きに脱力する生徒たち。 さやかM『ーーそっちが後回しかよツ!?ーー」 和子「じゃあ、暁美さーん、いらっしゃーい」 和子の呼びかけで、教室に入り教卓の脇に立つほむら。 まさかのクールな美貌に驚いて、クラスにどよめきが湧き起こる。 まどかM『...えっ!?』 そんな中、ただ一人、別の驚きに見舞われるまどか。転校生は夢の中で見た美少女と瓜二つの符貌だった。 さやか「うわッ...すげー美人!」 和子「はーぃ、それじゃ自己紹介いってみよー」 騒然たるクラスの皆をものともせずに、冷たい声で自己紹介するほむら。 ほむら「暁美ほむらです。よろしくお願いします」 和子は黒板に『暁美ほ』まで書いたところで、ほむらがそれ以上何も言わないことに気付き、笑顔で小首を傾げながら(続きは?)と目線で促す。だがそんな無言の催促をほむらは意に介さず、黒板に向き直って和子の代わりに「む」と「ら」書き足し、それからクラスの全員に深々とお辞儀をする。 えもいわれぬ凄味に気圧されて、おずおずと拍手を返す生徒たち。 ぽかーんと取り残されている利子。 まどかM『...ウソ...まさか...』 まどかは周囲にあわせて拍手することも忘れて、ほむらの姿に見人る。 脳出を過ぎる昨夜の夢の光景のフラッシュバック。 ほむら、黙礼を終えて顔を上げる。その途端、ほむらの視線は迷うことなくまどかを直撃。 その視線のあまりの鋭さに、ぎょっとして顔を伏せるまどか。 まどかM『えっ?ええツ!?』 偶然目があっただけかと考え直し、恐る恐る様子を窺つまどか。やはりほむらはまどかのことをじっと凝視している。

口教室(一時間目前の休み時間) さっそくクラスの女子たちがほむらの席の周囲に集まり、親陸のために次から次へと話しかけている。 女子A「暁美さんつて、前はどこの学校だったの?」 女子B「前は部活とかやってた?運動系?・文化系?」 女子C「すごい綺麗な髪だよねー。リンスは何使ってるの?」 周聞ではしゃぐ女子たちに、ほむらは悪印象を与えない程度に最低限の簡素さで、適当に受け答えを返していく。他人の詮索をかわすことに慣れきった、落ち着き払った大人の貫禄。 そんなほむらの様子を、まどかは自分の席から遠巻きに、やや不安げに眺めている。まどかの側には仁美とさやか。 仁美「不思議な雰囲気の人ですよね。暁美さん...」 さやか「ねえまどか、あの子、知り合い?なんかさっき思い切りガン飛ばされてなかった?」 まどか「いや...ええと...」 返答に窮するまどか。 一方でほむらは、急に周囲の女子たちの言葉を手で遮る。 ほむら「ごめんなさい、なんだか緊張しすぎたみたいで、ちょっと気分が...保健室に行かせてもらえるかしら?」 女子A「えッ? ぁ、じゃあアタシが案内してあげる!」 女子B「私も行く、行くツ」 ほむら「いえ、お構いなく。係の人にお願いしますから」 穏やかながらも、有無を言わせぬ迫力で席を立つほむら。 思わず道を開けてしま女子たち。 ほむらはそのまま、ずかずかとまどかの席までやって来る。 面食らって身を強張らせる仁美とさやか。完全にピビってしまうまどか。 ほむら「鹿目まどかさん、あなたがこのクラスの保健委員よね?」 まどか「え?ぇ、と、あの...」 笑顔一つ見せないほむらの冷たい凄味に、しどろもどろになるまどか。 ほむら「連れて行ってもらえる? 保健室」

廊下 先に立って足早に歩くほむら。後からおっかなびっくりついてくるまどか。 見慣れぬ転校生の美貌に、通りすがる生徒たちはみな一様に足を止めて目を見張る。囁き声で噂をする者たちも。 まどかははむらに気圧されつつ、また周囲からの奇異の眼差しにも晒されて、内心では半泣きである。 まどか「ぁ、あの、その:::わたしが保健の係って、どうして・・・・・」 ほむら「...」 冷たい問。うわ無視されたか、と思った途端に!ーー ほむら「早乙女先生から聞いたの」 虚を衝くタイミングの返答で、ますます萎縮するまどか。 まどか「ぁ、そうなんだ...そうだよね。あは...」 愛想笑いすら不発に終わるまどか。構わず、ずんずん先に進むほむら。 まどか「...えっと、さ。保健室は...」 ほむら「こっちよね」 まどか「ゃ、うん、そ、そうなんだけど...いやだから、その、もしかして...場所、知ってるのかな、って」 ほむら「...」 まどか「...」 無視されてしょげるまどかだが、それでもなお沈黙は耐えがたい。何でもいいから話しかけたくなる。 まどか「あーー暁美、さん?」 ほむら「...ほむらでいいわ」 いいと言われでもその呼び方には勇気がいる。まどか、思わず生唾を容み込んでから、 まどか「...ほむら...ちゃん?」 微妙な問。 ほむら「...なにかしら」 まどか「ぁ、ぅ、えっと、そのーー」 どう話題を繋げればいいかパニックに陥るまどか。もはややけっぱちになり、 まどか「あの、かーー変わった名前だよねつ」 ほむら「...」 ほむらの沈黙に、失言だったかとますます慌てるまどか。 まどか「ぃ、いや、だから、あのねて変な意味じゃなくてねッ、そのーーか、かっこいいな、なんて思ったりしたりーー」 ほむら、足を止める。ほんの僅かに唇を噛む。 振り向いて真正面からまどかを見据えるほむら。 たまたま場所は別棟に繋がる渡り廊下の途中である。周囲に他の生徒の姿はない。完全にまどかとほむらの二人きり。 今度こそただならぬ気配のほむらに、まどかは蛇に睨まれたカエルのように硬直する。 ほむら「鹿目まどか。あなたはーー」 まどか「...」 ほむら「ーー自分の人生が、貴いと思う? 家族や友達を、大切にしてる?」 まどか「...え...?」 あまりに唐突すぎる質問に、面食らうまどか。だがほむらの剣判事は真剣そのもので、何となく、この質問には真撃に答えなければならないのだと察する。 まどか「ゎ、私はーー大切、だよ。家族も、友達のみんなも、大好きで、とっても大事な人たちだよ」 ほむら「本当に?」 まどか「本当だょっ、ウソなわけないよ!」 まどかの返事に、無表情のまま、頷くほむら。 ほむら「そう。...もしそれが本当なら、今とは違う自分になろうだなんて、絶対に思わないことね。さもなければ全てを失うことになる」 まどか「...え?」 まったく話についていけないまどか。だがほむらは構わず踵を返し、一人で先に進んでいく。去り際に、さらに一言。 ほむら「あなたは、鹿日まどかのままでいればいい。今まで通りに、これからも」 まどか「...」 ほむらの言葉の意味を測りかねて、立ち尺ミすまどか。 そのまま取り残される。

Part B

数学の授業 黑板に書かれた問題に対し、機械じみた正確さで、きびきびと解答を埋めていくほむら。 あまりのスピードに呆気に取られる数学教諭と生徒たち。

体育の授業 走リ高跳び。完璧すぎるフォームで易々と170をクリア。 クラスメイトたちの大喝采。 体育教諭「...け、県内記録じゃないの?これ...」 俄ファンになった女子たちが、マットから立ち上がるほむらの周リに集まって黄色い声を上げている。 その様子を、やや距雌を開けて、おっかなびっくり見守っているまどかほむらもそれに気付いて、取り巻きの子たちには目もくれず、まどかに鋭い視線を投げ返す。 慌てて目を逸らし、縮こまるまどか。

口校庭の片隅の植本 まどかたちの体育の授業を、梢の中から密かに監視している謎の小動物の彩。(キユウベえ)

口大型ショッピングモlル(ららぽーと風) ...の、全景。 一部の棟が改装中で、イントレとパネルに覆われ、閉鎖されている。

ロモール内のファーストフード店 放課後、帰宅途中に寄り道しているまどか、さやか、仁美。バリューセットでおやつの時間。 まどかは二人に、ほむらとの会話について話し終えたところ。 さやか「えーっ!?何それ?」 まどか「わけ分かんない、よね...」 しょげるまどか。腕組みして考え込むさやか。 さやか「文武両道にて才色兼備、かと思いきや実はサイコな電波さんーーかーッ、どこまでキヤラ立てすりゃあ気が済むんだあの転校生は!?萌えかツ? そこが萌えなのかツ!?」 仁美「まどかさん、本当に暁美さんとは初対面ですの?」 まどか「う~ん、常識的にはそうなんだけど...」 さやか「なにそれ?非常識なトコで心当たりがあると?」 まどか「あの、ね...」 まどかの脳裏を去来する朝の夢のイメージ、カットバック。 まどか「ゆうべ、あの子と夢の中で逢った、ような...」 さやか&仁美「...」 しばし呆気に取られた後、大爆笑するこ人。 さやか「ぎやははははっ!すげーッ、まどかまでキヤラが立ちはじめたよツ」 言わなきゃ良かった、と後悔で赤面するまどか。 まどか「ひどいよお...私、真面目に悩んでるのに...」 さやか「あー、もお決まりだ!それ前世の因果だわ。あんたたち時空を越えて巡り会った述命の二人なんだわ!」 仁美「夢って、どんな夢でしたの?」 まどか「それが...なんだか良く思い出せないんだけど...とにかく変な夢だったってだけで...」 仁美「もしかしたら、本当は暁美さんと会ったことがあるのに、それをまどかさんが忘れてしまっただけかもしれませんわ」 まどか「えっ?」 仁美「まどかさん自身は憶えていないつもりでも、深層心理には彼女の印象が残っていて、それが夢に出てきたのかもしれません。たまたま彼女と再会する前日に」 さやか「たまたま、って...それ山米過ぎてない?どんな偶然よ」 仁美「前世の因果よりは筋の通った説明ですわ」 さやか「まーねー」 話をまとめられてしまったものの、依然、まどかだけは釈然としない。 ふと腕時計を見て、眉を肇める仁美。 仁美「あら、もうこんな時間? ごめんなさい、お先に失礼しますわ」 さやか「今日はピアノ?日本舞踊?」 仁美「お茶のお稽古ですの。もうすぐ受験だっていうのに、いつまで続けさせられるのか...」 さやか「うわぁ...小市民に生まれて良かったわあ」 まどか「私たちも、行こうか」 さやか「まどか、帰りにCD屋寄ってもいい?」 まどか「いいよ。また上条くんの?」 少々照れるさやか。 さやか「へへ、まあね」 ファーストフード店を出る3人。仁美だけが手を振って別方向に別れる。まどかとさやかは引き続きモールの奥に。

ロモールの地下通路 必死に逃げる小動物の影。(キユウべえ) その足下を掠めて、次々と銃弾が床を決る。 じわじわと距離を詰めてくる追跡者ーー魔法少女のシルエット。(ほむら)

口CDショップ 真剣な面持ちで、ヴァイオリン演奏のCDを物色しているさやか。 まどかは別の捌で、ポップスの新譜を試聴している。 そんなまどかの耳に届く、キユウベえからのテレパシー。 キユウベえ『助けて...」 まどか、驚いて視聴用のヘッドホンを外す。今度はさらにはっきりと、思念の声が頭に響く。 キユウベえ「助けて...まどか...』 まどか「え?えツ?」 慌てて周囲を見渡すまどかだが、不思議な声はまどか以外の誰にも聞こえていないらしい。 まどか「...誰?誰なの?」 声の主を捜して店舗を出て行くまどか。 その様子見咎めたさやかが、怪訝な顔をする。

口非常際段 キユウベえ「僕を...助けて...」 呼びかける声に将かれて、まどかは非常口から階段を上っていく。 とある防火扉泌を開けて覗き込むと、そこは改装中の無人の空問。 まるで廃墟のように.不気味に静まりかえっている。 まどか「...どこに、いるの?あなた誰?」 キユウベえ『助けて...』 迷路のような通路を、ふらふらと進んでいくまどか。 ふと、何かが動く気配を察して立ち止まる。 身を竦ませているまどかの眼前に、ふらふらと現れて、倒れ込むキユウベえ。 明らかに大怪我を負っている。 まどか「...ッ!?」 思わず駆け寄って抱き上げるまどか。 薄日を開けるキユウべえ。まどかと日が合う。運命的なものを感じるまどか。 まどか「...あなた、なの?」 キユウベえ「...助け、て...」 不意の靴音。はっとして目を上げるまどか。 眼前に、不吉な威圧感をまとって立ちはだかる人影。魔法少女スタイルのほむらである。 相手が誰だか理解して、ますます驚きに日を見張るまどか。 まどか「ほむら...ちゃん!?」 ほむら「そいつから離れて」 まどか「だ、だって、この子、怪我してる...」 怯えたようにまどかの腕にしがみつくキユウベえ。 その仕草と、ほむらの冷酷な眼差しで、状況をすべて察するまどか。 まどか「だ、駄目だよ!酷いことしないで!」 ほむら「あなたには関係ない」 キュゥべえを庇うように抱きしめたまま、後退るまどか。 まどか「だって、この子、私を呼んでた!聞こえたんだもん、「助けて」って」 苛立ちに眉をひそめるほむら。 ほむら「そう...」 冷たい殺気を放ちながら詰め寄るほむら。 怯えて目を閉じながらも、固くキユウベえを抱きしめるまどか。 だが両者の間に、いきなり消火器の白煙が吹き付けられる。視界を奪われ、一瞬怯むほむら。 さやか「まどかッ、こっち!」 傍らの通路から、消火器を手に呼びかけるさやか。 まどか「さやかちゃん!?」 驚きつつも、ともかくさやかの元へと逃げるまどか。 さやかは残りの消火藥をありったけ通路にぶちまけ、煙幕にしてから、まどかとともにその場を逃げ出す。 ほむら「...ちツ」 はむら、腕を一薙ぎ。魔力の風で消火薬の煙は一掃される。だが既にまどかとさやかの姿はない。 すぐに追おうとするほむらだが、咄嗟に立ち止まり、身構えて周囲を警戒。 辺りの暗闇に怪しい気配。やがて続々と姿を現しはじめる、魔女の使い魔たち。 ほむら「こんな時に...ツ」 歯噛みみするほむら。

ロモール改袋小エリア、通路 息せき切って逃げるまどかとさやか。 さやか「なッ...何なんだよあいつ!?今度はコスプレで通り魔かよ!?」 さやか、さらにまどかが抱いているキユウベえを見て、 さやか「つつーか、何ソレ?ヌイグルミ...じゃないよね、生きてる!?」 まどか「わかんない...わかんないけど、この子を、助けなきや!」 非常口があった筈の場所まで戻る二人。だが通路の様子が、来たときとは全く異なる形に変形している。 既に魔女の結界に呑み込まれ、異界と化している通路。 さやか「ぁ、あれ!?非常口は...どこよ、ここ!?」 さらに走る二人。ますます迷路化する通路。さすがに二人とも異常を察しはじめる。 まどか「変だよ、ここ...どんどん道が変わってく!」 さやか「ああもうッ、ど!なってんのさ!?」 やや開けた場所に出て、立ち止まる二人。そこかしこから伝わってくる怪しい気配。 まどか「やだ...何か、いる?」 闇の奥から、ゆっくりと姿を現す使い魔たち。怯える二人。 さやか「じょ:::冗談だよね?あたし、悪い夢でも見てるんだよね?ねてまどかツ」 絶体絶命の危機。それでもまどかはキユウベえを庇いたい一心で抱きしめる。 じわじわと詰め寄ってくる使い魔たち。 だがその頭上に、ふいに輝く投網が被い被さる。 魔法の網に絡め捕られ、狼狽えて身悶えする使い魔たち。 だが網はがっちりと彼らを捕らえて放さない。 マミ「ーー危なかったわね。でも、ちう大丈夫」 いつの間にか、まどかとさやかの背後に、別の少女が立っている。まどかたちと川じ学校の制服。巴マミである。 さやか「ぁ、あれ...げ」 まどか「これはーー」 マミ、優しく微笑んで、まどかの腕の中のキュゥベえを見る。 マミ「キユウべえを助けてくれたのね。ありがとう。この子は私の大切な友達なの」 まどか「私ーー呼ばれたんです。頭の中に直接、この子の声が」 マミ「ふうん...成る程ね」 委細納得した風な面持ちで、まどかとさやかを観察するマミ。 マミ「その制服、あなたたちも見滝原の生徒みたいね。二年生?」 さやか「あなたはーー」 マミ「そうそう、自己紹介しないとね。でも、その前に」 マミ、前へと進み出て、使い魔たちの前に立ちはだかる。 戦いに臨む凛々しい横顔。 マミ「ちょっと一仕事、片付けちゃっていいかしら」 マミ、魔法少女へと変身。その輝きに圧倒されるまどかとさやか。 マミ、マジカルマスケット銃を構え、機関銃のように連射する。身動き取れない使い魔たちはあっという間に一掃される。 まどか「す、凄い...」 使い魔たちよりさらに背後の闇の奥に、うっすらと浮かび上がる魔女のシルエット。身構えるマミ。 だが魔女は何もせず附の中へと姿を消し、逃亡する。 結界が解けて、周囲は通常の空間に戻る。もとの静まりかえった無人の工事現場。非常口の電光表示が見える。 さやか「も、戻つた...?」 安堵しかかるまどかとさやか。だがマミは険しい表情のまま、背後を振り向く。 マミの視線の先には、ほむらの姿。遅れて気付いて、やや怯えるまどかたち。 マミ「魔女は逃げたわ。仕留めたいならすぐ追いかけなさい。今回はあなたに譲ってあげる」 ほむら「私が用があるのはーー」 マミ「呑み込みが怒いのね。見逃してあげるって言ってるの」 皆まで言わせず、威嚇を込めた戸でほむらを遮るマミ。 張り詰めた表情で、状況を読むほむら。葛藤するものの、この場でキユウベえを抹殺することは不可能と判断する。 マミ「お互い、余計なトラブルとは無縁ていたいと思わない?」 はむら「...後悔するわよ」 マミ、にっこりと笑顔を返す。 マミ「次はお友述になれそうなタイミングで会いたいわ。お五いのためにも」 ほむら「...」 無言のまま、御を返すほむら。そのまま姿を消すo x x x 一息ついて、傷ついたユウベえの身体に治癒の魔力をかけるマミ。 見る見るうもに傷が癒え、キユウべえが意識を取り戻す。 キユウべえ「ーーありがとうマミ。助かったよ」 マミ「お礼はこの子たちに。私は通りがかっただけだから」 キユウベえの視線に、ややどぎまぎするまどか。 さやかも、ヌイグルミと思った不思議生物が人語を喋るのを見て、驚きにやや退いている。 キユウベえ「どうもありがとう。僕の名前はキユウベえ」 まどか「あなたが...私を呼んだの」 キユウベえ「そうだよ。鹿目まどか、それと美樹さやか」 まどかのみならず、名前を呼ばれたさやかも怯む。 さやか「何で私たちの名前を...?」 キユウべえ「僕、君たちにお願いがあって来たんだ」 まどか「...お、お願い?」 頷くキュウベえ。愛らしい笑顔で、 キユウベえ「僕と契約して、魔法少女になってほしいんだ」

References

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