The Beginning Story: Episode 2

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Part A

From Episode One

From Episode One 一話より
逃げるキユウベえを追うはむら。
キュゥベえを庇うまどかに襲いかかるほむら。
逃げるまどかとさやかに、襲いかかってくる魔女の使い魔。
変身するマミ。使い魔達を薙き払う魔法の攻撃。

After Episode One

After Episode One 一話の直後
キユウベえの治療を終えて、自己紹介するマミ。
マミ「私は巴マミ。あなたたちと同じ滝原中の3年生。そしてーーキユウべえと契約した魔法少女よ」

まどかの部屋

まどかの部屋
目覚まし時計の騒音。はっとして目覚めるまどか。ベッドの中にいる。
カーテンの隙間から朝の光。見慣れた自分の部屋の中を、ぼんやりと見渡すまどか。
まどか「...はうう...また変な夢...?」
幾つもあるぬいぐるみ達に混じって、ちょこんと座っているキユウベえ。まどかと目があった途端、瞬きして、ひょいと手を挙げる。
キユウベえ「おはよう、まどか」

Washroom

Washroom 洗面所
鏡の前で並んで歯を磨いているまどかと詢子。詢子はまだ寝起きの冴えない顔。
詢子「まどか、ゆうべは帰りが遅かったんだって?」
まどか「先輩の家にお呼ばれしちゃって...」
詢子「まー門限とかうるさいことは言わないけどさ、晩飯の前には一報入れなよ。親を心配させすぎるとロクなことになんねーぞ」
まどか「うん...ごめんね」
まどか、ちらりと背後の風呂場を覗う。
洗面器に湯を張って、朝風呂を堪能しているキユウベえ。
まどかM『本当に人には見えないんだ...』

Mami Room (Memory)

Mami Room (Memory) マミの部屋(回想)
マミが住むマンションへと上げられるまどかとさやか。
ワンルームにしては広めの空間。上品でおしゃれに演出された内装。
さやか「つわ...」
まどか「素敵な部屋...」
マミ「一人暮らしだから、遠慮しないで。ろくにおもてなしの準備もないんだけど...」
x x x
ローテーブルを囲んで座る三人と一匹。
各々にハーブティとシフォンケーキが振る舞われている。
わりと遠慮なく美味しそうに食べているさやかと、やや緊張気味にちょんちょんとつついているまどか。
マミ「...キユウベえに選ばれた以上、あなたたちにとっても他人事じゃないものね。ある程度の説明は必要かと思って」
さやか「うんうん、何でも訊いてくれたまえ」
まどか「さやかちゃん、それ逆...」
マミは笑って、ペンダントのソウルジェムを取り出し、見せる。
マミ「これが、ソウルジエム」
まどか「わあ、綺麗...」
マミ「キユウベえに選ばれた女の子が、契約によって生み出す宝石よ。魔力の源であり、魔法少女であることの証でもあるの」
さやか「契約って?」
キュゥベえ「僕は君たちの願い事を、なんでもひとつ叶えてあげる」
さやか「えッ?本当?」
まどか「願い事って...」
キユウベえ「何だって構わない。どんな奇跡だって起こしてあげられるよ」
さやか「うお...金銀財宝とか、不老不死とか、満漢全席とか!?」
まどか「いや、最後のはちょっと...」
キユウベえ「でも、それと引き換えに出来上がるのがソウルジエム。この石を手にした者は、魔女と戦う使命を課されるんだ」
まどか「...魔女?」

Washroom

Washroom 洗面所
再び、鏡の前で身支度中のまどかと絢子。
まどか「ね~、ママ?」
詢子「んん?」
まどか「もしもーーもしも、だよ? 魔法でどんな願い事でも叶えてもらえる、って言われたら、どうする?」
詢子「専務を二人ばかり余所に飛ばしてもらうわ」
まどか「わ~」(困ったヒトだなあ、もう)
詢子「後はそーねー、社長もさー、もう無理が利く歳じゃねーんだからそろそろ隠居考えてほしいんだけど、代わりがいないってのがねえ...あのドラ息子は二代目の器じゃねえしなあ・・・・・」
まどか「いっそママが社長さんになっちやったら?」
メイクの手を止め、はっとなる詢子。
詢子「その手があったか」
まどか「...ママ?」
まどかを余所に、腕組みして、真顔で考え込む詢子。
詢子「営業部にさえしっかり根回ししとけば、企画部と総務は言いなりだし...そうなると問題は経理のハゲかあ。ふむ・・・・・」
まどか「ママ、目が恐いよ...」

Mami Apartment (Memory)

Mami Apartment (Memory) 口マミの部屋(回想)
さやか「魔女って何なの?魔法少女とは違うの?」
キユウベえ「願いから生まれるのが魔法少女だとすれば、魔女は呪いから生まれた存在だ。魔法少女が希望を振りまくように、魔女は絶望を撒き散らす。しかもその姿は普通の人間には見えないからタチが悪い。不安や猜疑心、過剰な怒りや憎しみといった負の衝動...そういう禍の種を世界にもたらしているんだ」
マミ「理由のはっきりしない自殺や殺人事件は、かなりの確率で魔女の呪いが原因なのよ。形のない悪意となって、人間を内側から蝕んでいくの」
さやか「そんなヤバイ奴らがいるのに、どうして誰も気付かないの?」
キュゥべえ「魔女は常に結界の奥に隠れ潜んで、決して人前には姿を現さないからね。さっき君たちが迷い込んだ迷路のような場所がそうだよ」
マミ「結構、危ないところだったのよ。あれに呑み込まれた人間は、普通は生きて帰れないから」
思い出して、身震いするまどか。
まどか「マミさんは、そんな恐いものと戦ってるの?」
マミ「そう、命懸けよ。だからあなたたちも慎重に選んだほつがいい」
やや真顔になるマミ。
マミ「キユウベえに選ばれたあなたたちには、どんな願いでも叶えられるチャンスがある。でもそれは死と隣り合わせなの」
まどか「ううう...」
さやか「うわぁ、悩むなあ...」
ややビビるまどかと、考え込むさやか。
さやか「でも美味しい話だよね~。どんな望みでも叶えてもらえるんだもんねえ...」
マミ「そこで提案なんだけど、二人とも、しばらく私の魔女退治に付き合ってみない?」
まどか、さやか「ええツ!?」
マミ「魔女との戦いがどういうものか、その目で見て確かめてみればいいわ。その上で、危険を冒してまで叶えたい願いがあるのかどうか、じっくり考えてみるべきだと思うの」

Road to School

Road to School 通学路
通学途中の生徒の群れ。
昨日と同じく、さやかと仁美のところに後から合流するまどか。
ただし今朝のまどかの肩にはキユウベえが鎮座している。
まどか「おつはよー」
仁美「おはようございます」
キユウベえ「おはよう、さやか」
さやか「う...あ...」
さやかは、仁美ほか周囲の誰もがキユウベえの存在に気付いてないと知り、言葉に詰まる。
仁美「...?どうかしましたか?さやかさん」
さやか「(まどかに)やっぱソイツ...見えないんだ。人には」
まどか「(やや困った笑い)そうみたい」
仁美「...?」
まどか、口を噤んだままさやかに思念を送る。
まどか『頭で考えるだけで、会話とかできるみたいだよ」
いきなりテレパシーを送られて、動揺するさやか。
さやか『ええツ!?あたしたち、もう既にそんなマジカルな力が?』
キユウベえ『いやいや、今はまだ僕が間で中継してるだけ。でも内緒話には便利でしょ?』
さやか『なーんか...変なカンジ』
さやかとまどかの不可解な態度に、小首を傾げる仁美。
仁美「お二人とも、さっきからどうしたんです? しきりに目配せしてますけど」
まどか「えッ? いや、これはッ、あの、その...」
仁美「まさか二人とも、既に目と目で分かり合う間柄ですの? まあッ、たった一日でそこまで急接近だなんて!昨日はあのあと一体何が!?」
一人で妄想に赤面して身もだえする仁美。やや白けるまどかとさやか。
さやか「いや、そりゃねえわ流石に」
まどか「確かに色々あったんだけどさ...」
仁美「でもいけませんわ、お二方、女同士で...それは禁断の恋の形ですのよ!」
まどか「...今日の仁美ちゃん、なんだかさやかちゃんみたいだよ?」
さやか「どーゆー意味だよう? それはッ!」

Classroom

Classroom 教室
ホームルーム前のひととき。雑談に興じるクラスメイたちをよそに、念話で会話するまどか、さやか、キユウベ‘ぇ。
さやか『つーかさ、あんた、のこのこ学校までついて米ちゃって良かったの?』
キユウベえ『どうして?」
さやか『言ったでしょ。昨日のあいつ、このクラスの転校生だって。あんた、命狙われてるんじゃないの?』
キユウベえ『むしろ学校の方が安全だと思うな。マミもいるし』
まどか「マミさんは三年生だから、クラス、ちょっと遠いよ?』
マミ『ご心配なく。話はちゃんと聞こえてるわ』
さやか「わっ』
まどか『あっ、えっと...ぉ、おはようございます」
x x x
三年生の教室。席について、頬杖をついて目を閉じているマミ。一見居眠りしている風に見えるが、ソウルジエムを耳に当てている。
x x x
マミ「ちゃんと見守ってるから安心して。それにあの子だって、人前で襲ってくるような真似はしないはずよ』
さやか『ならいいんだけど...』
そこへ、教室に入ってくるほむら。
さやか「げ、噂をすれば影」
ほむらは真っ先にまどかと、その傍らにいるキユウべえを凝視する。
やや怯えた風にまどかの陰に隠れるキユウべえ。
ほむらの険しい視線に気圧されるまどか。ぎゅっとキユウベえを抱きしめる。

Mami Apartment (Memory)

Mami Apartment (Memory) マミの部屋(回想)
さやか「あの転校生も、えっと、その、魔法少女なの?マミさんと同じ?」
マミ「そうね。間違いないわ。かなり強い魔力を持ってるみたい」
さやか「でも、それなら、マミさんみたいに魔女をやっつける正義の味方なんだよね?それがなんで、急にまどかを襲ったりしたわけ?」
キユウベえ「彼女が狙ってたのは僕だよ。新しい魔法少女が生まれることを阻止しようとしてたんだろうね』
まどか「え...」
さやか「なんで?同じ敵と戦っているなら、仲間は多い方がいいんじゃないの?」
マミ「それが、そうでもないの。むしろお互いをライバル視して競争になることの方が多いのよね」
まどか「そんな...どうして...」
マミ「魔女を倒せば、それなりの見返りがあるの。だから時と場合によっては、手柄の取り合いになってぶつかることもあるのよね」
眉根に皺を寄せて考え込むさやか。
さやか「つまりあいつは、キユウベえがまどかに声をかけるって最初から目星をつけてて、それで朝からあんなに絡んできたってわけ?」
マミ「多分、そういうことでしょうね」

Classroom

Classroom 教室
ーー引き続き、ほむらの視線に射竦められているまどか。さやか『気にすんな、まどか』
きっぱりと強い意志を込めて、思念を送ってくるさやか。
さやか『あいつが何かちょっかい出してきたら、あたしがぶつとばしてやるからさ。マミさんだってついてるんだし』
マミ『そうよ。美樹さんはともかくとして、私がついてるんだから大丈夫。安心して」
さやか『ともかくってゆーなーツ』
マミとさやかの遣り取りに、やや緊張を解されて表情を和ませるまどか。
ほむらは何事もなかったかのようにまどかから視線を外し、話しかけてくるクラスメイトたちの輸の中に紛れていく。

Classroom in Session

Classroom in Session 授業中の教室
長閑な空気の退屈な授業。
まどか、まずほむらの席を覗う。ほむらはまどかなど眼中なしに真つ直ぐ正面を向いている。
続いてさやかの様子を窺うまどか。気疲れしたのか、こっくりこっくりと船をこいでいる。
まどか、ひとまず危機はないと安堵するものの、それはそれで手持ち無沙汰。ノートが次第に落書きで埋まっていく。
まず変身したマミの絵、続いてほむらの絵。『リボンは?」『フリルとか』と変なコメントもつきはじめる。ーー無意識のうちに、自分の変身姿について一人デザインコンペを始めているまどか。

Rooftop

Rooftop 屋上
昼休みの校舎屋上。弁当を食べたり、談笑したりしている生徒たちが、ぽつぽつと疎らにいる。
その中で、フェンスに凭れ、漫然と空を眺めているまどか、さやか、キユウベえ。
さやか「ねー、まどかあ。ーー願い事、何か考えた?」
まどか「ううん。さやかちゃんは?」
さやか「あたしも全然。何だかなー。いくらでも思いつくと思ったんだけどなー」
溜息をついて、伸びをするさやか。
さやか「欲しいモノもやりたいことも、いっぱいあるけどさ。命懸け、ってところで、やっぱ引っかかっちゃうよね。そうまでする程のモンじゃねーよなーって」
まどか「うん...」
キユウベえ「意外だなあ。大抵の子は二つ返事なんだけど」
さやか「まーきっと、あたしたちがバカなんだよ」
まどか「え~?そうかな...」
さやか「そう。幸せパカ」
冗談めかした言葉とは裏腹に、真顔でやや憂い顔のさやか。
さやか「別に珍しくなんかないはずだよ。命と引き換えにしてでも叶えたい望みって。そういうの抱えてる人は、世の中に大勢いるんじゃないのかな」
まどか「...」
さやかの真面目な語りに、言葉を返せないまどか。
さやか「だから、それが見つからない私たちって、その程度の不幸しか知らないってことじゃん。恵まれすぎてバカになっちゃってるんだよ」
x x x
さやかの回想。恭介の病室。ベッドの上で、窓の外を見つめている恭介の背中。
x x x
さやか「...なんで、あたしたちなのかな?」
さやかの声音に滲む影。戸惑うまどか。
さやか「不公平だと思わない?こういうチャンス、本当に欲しいと思ってる人は他にいるはずなのにね...」
まどか「さやかちゃん...」
そのとき、屋上に姿を現すほむら。はっと緊張するまどかとさやか。ほむらはまどかを見つけるや否や、真つ直ぐに歩み寄ってくる。
まどかを庇うかのように前に出るさやか。だが二人の脳裏に、マミからの思念が届く。
マミ『大丈夫...』
ほむら、隣の校舎を見遣る。その屋上にはソウルジエムを手にしたマミの姿。相手方の警戒ぶリを認識して、足を止めるほむら。
さやか「...昨日の続きかよ?」
ほむら「いいえ、そのつもりはないわ」
冷ややかな眼差しでキユゥベえを見るほむら。
ほむら「そいつが鹿目まどかと接触する前にケリをつけたかったけれど...今更それも手遅れだし」
あらためて、まどかを見据えるほむら。
ほむら「で、どうするの?そいつの言葉を鵜呑みにして、あなたも魔法少女になるつもり?」
キユウベえ「僕は強制はしてないよ。まどかたちも今、迷つてるところだ」
さやか「どっちにしろ、あんたにとやかく言われる筋合いはないわよ」
ほむら、さやかを一瞥。やや気圧されるものの怯まないさやか。だがすぐにほむらの視線は再びまどかへ。
ほむら「昨日の話、憶えてる?」
まどか「うん...」
ほむら「ならいいわ。忠告が無駄にならないよう、祈ってる」
言い残して踵を返し、屋上を去っていこ、っとするほむら。
まどか「ほーーほむらちゃん?」
呼び止められ、立ち止まるほむら。
まどか「あの...あなたは、どんな願い事をして魔法少女になったの?」
じろりと肩越しにまどかを睨むほむら。その表情には、怒りとも悲しみともつかない激しい感情が覘く。驚きに言葉を失うまどか。
だがそれも一瞬で、ほむらはすぐに普段の無表情に戻リ、屋上を去っていく。

Part B

After School - Classroom

After School - Classroom 放認後の教室
談笑しながら帰り支度をしている生徒たち。
マイペースに鞄を整理している仁美のところに、既に身支度を終えたまどかとさやかがやってくる。
さやか「仁美ごめん、今日はあたしら、ちょっと野暮用があって...先に行ってるね」
仁美「あら、内紛ごとですの?」
まどか「えっと...」
口ごもるまどか。仁美は勝手に勘違いして頬を赤らめる。
仁美「羨ましいですわ。もうお二人の間に割リ込むむ余地なんてないんですのね...」
さやか「いやだから違うって。それ」
教室を山て行くまどかとさやかを、じっと目で追っているほむら。その背中に、女子Aが声をかける。
女子A「暁美さん、今日こそ帰りに喫茶店寄ってこ」
振り向いて、さも残念そうに微笑むほむら。
ほむら「ごめんなさいね。今日もちょっと急ぐ用事があって...」

Shopping Mall - Fast Food Restaurant

Shopping Mall - Fast Food Restaurant ショッピングモールのファーストフード店
昨日と同じ店に集合しているまどか、さやか、マミ。さやかの手荷物の中には、何やら布て包んだ細長い物体がある。
がっつりバリューセット一人前を食べているさやか。ジュースだけしか頼んでいないマミ。まどかは自分のポテトをキユウべえに食べさせている。
マミ「さて、それじゃあ魔法少女体験コlス第一弾。張り切って行ってみましょうか。準備はいい?」
さやか「準備になってるかどうか分からないけど...」
さやか、持参した包みの端を解いて中身を見せる。やや年季の入った金属バット。
さやか「こっそり体育会席からガメてきたよ。何もないよりはマシかと思って」
マミ、呆れ半分、感心半分の微笑。
マミ「まあ、そういう覚悟でいてくれるのは助かるわ」
さやか「まどかは何か、持ってきた?」
まどか「え?えっと、私は...」
素直に手ぶらで来たとは言えず、慌てるまどか。
あまり深い考えもなく、鞄からノートを取り出して中身を見せる。
見聞きにびっしりと舎かれた魔法少女ルックの三面図と細部と決めポーズ草案。
まどか「と、とりあえず、衣装だけでも考えておこうかと思って...」
しばし呆気にとられるさやかとマミ。それから堪えきれずに笑い山す。
そこでようやく、自分のずれっぷりを自覚して、顔を真っ赤にするまどか。
マミ「うん、意気込みとしては充分ね」
さやか「こりゃあ参った。あんたにや負けるわ」
まどか「うう...」

Mall Area Under Renovation - Passage

Mall Area Under Renovation - Passage モール改装中エリア、通路
昨日の結界が消えた場所に来ている一行。マミが、手の中で鈍い光を脈打たせているソウルジエムを二人に見せる。
マミ「これが、昨日の魔女が残していった魔力の痕跡。基本的に、魔女捜しは足頼みよ。こうしてソウルジエムが捉える魔力の気配を迪っていくわけ」
さやか「意外と地味...」

Residential Street

Residential Street 住宅街
ソウルジエムの光の強弱を頼りに、近辺の町並みをそぞろ歩くマミ。その後についていくまどかとさやか。キユウべえはまどかの肩に。
さやか、マミの手元を覗き込んで滴息をつく。
さやか「光、ぜんぜん変わらないね」
マミ「取り逃がしてから一晩経っちゃったからね。足跡も薄くなってるわ」
まどか「あのとき、すぐに追いかけてたら...」
マミ「仕留められたかもしれないけれど、あなたたちを放っておいてまで優先することじゃなかったわ」
まどか「...ごめんなさい」
マミ「いいのよ」
さやかでつん、やっぱりマミさんは正義の味方だ! ーーそれに引き換え、あの転校生、ホンツトにむかつくな1」
まどか、屋上を去り際のほむらの痛ましい表情を思い出して、やや複雑な気持ちになる。
まどかM『本当に悪い子なのかな...』
x x x
とある廃ピルの玄関、夢遊病者のような足取りで中に入っていくOLの姿。
x x x
引き続き、マミの探索は続く。
周囲の景色は段々と寂れて人気のない場所に。
さやか「ねえマミさん、魔女のいそうな場所、せめて目星ぐらいはつけられないの?」
マミ「魔女の呪いの影響で、わりと多いのは交通事故や傷害事件よね。だから大きな道路や、喧嘩が起きそうな歓楽街は優先的にチェックしないと。あとは自殺に向いてそうな人気のない場所...それから、病院とかに取り憑かれると最悪ょ。ただでさえ弱っている人たちから生命力が吸い上げられるから、目も当てられないことになる」
x x x
廃ピル内部、ふらふらと階段を上がっていくOL。
x x x
さやか「それだけ分かってたら、けつこう限られてくるんじゃないの?」
マミ「同じ場所で繰り返し犠牲が出たら、不吉な場所として注目されちゃうでしょう?だから魔女は私たちの裏をかこうとして、何度も場所を移動するの」
ふと立ち止まり、ソウルジェムの反応に見入るマミ。光の脈動が明らかに早くなっている。険しい顔で周囲を見回すマミ。
マミ「...かなり強い魔力の波動だわ。近いかも」
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廃ビル屋上、靴を脱ぎ、手摺リを乗り越えるOL。縁に立って地面を見下ろし、虚ろな笑顔を見せる。
x x x
ソウルジエムの誘導で、ついにマミたちは廃ピルの前へ。
ソウルジエムの輝きは激しく明滅している。
マミ「間違いない、ここだ...」
頭上を見上げ、屋上の縁に立っているOLの姿を見つけるさやか。
さやか「マミさん、あれ!」
だが時すでに遅く、OLは宙に身を躍らせる。恐怖に口元を押さえるまどか。
マミ、瞬時に変身。魔力を放ってOLの身体を受け止める。
地面にふわりと着地するOL。意識を失って、身じろぎもしない。
マミ、駆け寄って素早く彼女の様態をチェックする。首筋には、魔女に魅入られた犠牲者であることを示す刻印がある。
まどか「そ、その人は...」
マミ「大丈夫。気を失ってるだけ。ーー行くわよ!」
廃ビルのエントランスへと駆け込むマミ。慌てて続くまどかとさやか。
マミはソウルジエムを一閃させ、隠されていた結界への入口を暴き出す。
マミ「今日こそ逃がさないわよ...」
緊張に生唾を呑み込むまどか。さやかも、いよいよ荒事と覚悟を決めて、パットから包み紙を剥がす。そのパ
ットにマミが手を触れると、魔力が充模され、ほのかな輝きを帯びはじめる。
さやか「わ...」
マミ「気休め程度だけど、これで身を守る程度の役には立つわ。絶対に私の側を離れないでね」
まどか、さやか「はい!」
マミを先頭に、結界の中へと踏み込んでいく一行。
その後で、廃ピルのエントランスへと姿を現すほむら。
鋭い眼差しで結界の入口を見つめる。
ほむら「...」

In a Barrier

In a Barrier 結界内部
攻め寄せる使い魔たちを蹴散らしながら先へと進むマミ。
後に続くまどか、さやか、キユウベえ。
さやか「わわッ、く、来んな。来んな!」
弱りながらも追い鎚ってくる使い魔たちを、必死にパットで叩き伏せるさやか。
キユウベえ「頑張って!もうすぐ結界の最深部だ!」
マミ「ーーどう?恐い? 二人とも」
さやか「なつなつなっ何のことねーッて!」
半ば自棄になってパットを振り回しているさやか。
一方でまどかは、怯えてキユウベえを固く抱きしめながらも、戦うマミの後ろ姿に陶然と見入っているまどかM『恐いけど、でも...』
颯爽と戦う魔法少女の姿に、いつしか憧れを懐いている自分を自覚するまどか。

Deep End of the Barrier

Deep End of the Barrier 結界最深部
ついに使い魔たちの防壁を突破するマミたち。
その眼前に、いよいよ魔女の本体が姿を現す。一話でショッピングモールに現れたのと同じ個体である。
マミ「見て。ーーあれが、魔女」
さやか「うわっ、グロい...」
まどか「あんなのと...戦うんですか?」
マミ「大丈夫。負けるもんですか」
自信たっぷりに魔女の前へと進み出るマミ。
マミ「未来の後輩に、あんまり格好悪いとこ見せられないものね!」
魔銃を構えるマミ。威嚇するかのように奇声を上げる魔女。
魔女「キシヤアアアツ!!」
マミ、魔銃を連射。魔女は機敏に身をかわす。
マミの銃撃は狙いが甘く、一発として当たらない。外れた弾は次々と床にめり込んで止まる。
さやか「な、なにやってんのさマミさあん!」
マミ「まあ、見てなさい」
ふいに銃撃を止めるマミ。魔女は回避から反撃に転じんとして、まっしぐらにマミへと肉薄する。
だがマミが床一面に撒き散らした魔銃の弾丸から、一斉に魔力の糸が噴き出し、網のように絡まって魔女の上に降りかかる。
マミ「これが、私のーー」
魔女「ギイツ!?」
魔力の網でがんじがらめになり、身動きできなくなる魔女。
すかさずマミは武器をマスケット銃から大筒形態へと変形させる。
マミ「アルテイマ・シュート!!」
大魔力を放つ魔砲。避けられず直撃をくらった魔女は悲鳴とともに消滅していく。
魔女「ギヤアアアツ!!」
魔女消滅と同時に周囲の結界も崩壊し、もとの廃ビルの
内装へと戻っていく。
さやか「か、勝った...の?」
まどか「凄い...」
後には、一欠片の黒い宝石が残される。マミはそれを拾い上げて、二人に見せる。
マミ「これが、グリーフシード。魔女の卵よ」
さやか「た、卵...」
マミ「運が良ければ、ときどき魔女が何個か持ち歩いてることがあるの」
恐ろしげに観察するまどかとさやか。
キユウベえ「大丈夫。その状態では安全だよ。むしろ役に立つ貴重なモノだ」
マミはソウルジエムを取り出して、まどかたちに間近に観察させる。
マミ「私のソウルジエム、ゆうべよりちょっと色が濁ってるでしょ?」
まどか「そういえば...」
マミ「でもグリーフシードを使えば、ほらーー」
ソウルジエムとグリーフシードを近づけるマミ。するとソウルジエムの濁りはグリーフシードへと吸い取られ、もとの透き通った輝きを取り戻す。
さやか「あっ、綺麗になった」
マミ「ね?これで消耗した私の魔力も元通り。前に話した魔女退治の見返りっていうのが、これ」
説明してから、マミはやおらグリーフシードを部屋の一画の暗がりへと放り投げる。
飛んできたグリーフシードをキャッチするほむら。そこでようやく、まどかとさやかも、暗がりに潜んでいたほむらの存在に気付く。
さやか「ぁ、あいつツ!?」
マミ「あと一度ぐらいは使えるはずょ。あなたにあげるわ。暁美ほむらさん」
ほむら「...」
マミ「ーーそれとも、人と分け合うんじゃ不服かしら?丸ごと自分のものにしたかった?」
ほむらは表情を一切変えず、グリーフシードをマミへと投げ返す。
ほむら「あなたの獲物ょ。あなただけのものにすればいい」
マミ「そう...それがあなたの答えね」
マミ、決してほむらとは相容れないと感じて、表情を陰らせる。
無言のまま立ち去っていくほむら。
さやか「く~つ,やっぱ感じ悪いいやっ!」
去っていくほむらを、いたたまれない想いで見送るまどか。
まどか「仲良くできればいいのに...」
マミ「お互いにそう思えれば、ね...」

Abandoned Building - Exterior

Abandoned Building - Exterior 廃ビルの外
意識を失っていたOLを介抱するマミ。首筋にあった魔女の刻印は消えている。
やがてOLは意識を取り戻し、不思議そうに辺りを見回す。
OL「ここは...あれ? 私は...」
しばし戸惑うOLだが、自分が自殺しようとしていた記憶を取り戻し、恐怖に震え上がる。
OL「ゃ、やだっ、私、なんで...そんな! どうしてあんなこと...ッ!?」
パニックに陥るOLを、優しく抱きしめて落ち着かせるマミ。
マミ「大丈夫、もう大丈夫です。ちょっと悪い夢を見てただけですよ」
その様子を、やや離れて見守るまどかとさやか。
さやか「一件落着、って感じかな」
まどか「うん...」
OLを慰めるマミの横顔を、憧憬の眼差しで見守るまどか。
まどかM『叶えたい願い事とか、私には難しすぎて、すぐには決められないけれどーーでも、人助けのために頑張るマミさんの姿は、とても素敵でーー』

Madoka Room

Madoka Room まどかの寝室
夜、就寝前のまどか。
勉強机にスタンドを点し、ノートに落書きした魔法少火のコスチューム楽に、色鉛筆で仕上げをしている。
まどかM 「んな私でも、あんな胤に誰かの役に収てるとしたら、それはとっても嬉しいなってーー思ってしまうのでした』