Ultra Jump EGG Urobuchi Interview: Difference between revisions

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Revision as of 14:42, 28 July 2011

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第3話でサブヒロインが殺されてしまうなど、単なる“魔法少女モノ”に留まらない、衝撃的な内容が話題となった『魔法少女まどか☆マギカ』。

2011年1月~4月に関西地方ではMBS、関東地方ではTBSで深夜に放送されていたオリジナルアニメーション作品『魔法少女まどか☆マギカ』(以下『まどか』)。魔法少女という題材とは裏腹に次々とヒロイン達が倒れるなど、重厚かつ意外性ある物語が反響を呼び、今春一番の話題作となりました。その熱気は収まることはなく、放送終了後に『週刊SPA!』、『SWITCH』など一般誌でも記事として取り上げられているほどです。

その『まどか』の脚本を担当したのが、シナリオライターの虚淵玄さんです。人気振りを受け、当事者はいま何を思うのか――。虚淵さんにお話を伺いました!

Urobuchi Interview

UJE - 『まどか』の大ヒットおめでとうございます。放送終了後の、率直なお気持ちをお聞かせいただけますか?

虚淵 - 放送が終わって3か月なんですが、もう相当時間が経っちゃった気分がありますね。というのも、『まどか』の脚本そのものを書き終えたのは2~3年前なんです。ただ、アニメの収録には立ち会っていたので、一通りのカタがついたのは2月くらいですね。間が空きましたし、いよいよ次の仕事も控えているしで、そろそろ浮かれてもいられなくなりました。後に控えている仕事が半端ないことになっちゃったので、それに頭を切り替えていると、なかなか『まどか』のことを考えているスキがないというか。

UJE - 「後に控えている仕事が半端ない」ということは、ゲーム業界やアニメ業界の反応もよかったのでしょうか。

虚淵 - いままでお付き合いしていたところからの依頼だけではなく、『まどか』の後に新規にお声掛けいただいた会社も、結果的には増えてきていますね。今後の予定としては、原作を手掛けた『Fate/Zero』のアニメが今年放送されます。他にもいくつかのオリジナルアニメの企画が動いています。企画の立ち上げから関わらなければいけないものが多く、どれも気が抜けません。そのうちの1つは2012年後期頃にご覧いただけると思います。一番話は進んでないんですが(苦笑)。

UJE - 多忙ゆえに、いくつかはお断りせざるを得ないお話もあったのでしょうか?

虚淵 - はい。やってみたいけど、お断りせざるを得なかった案件もいくつかありますね。一度に重なっちゃったのは痛かったなと。まだアニメの業界に慣れていないので、ノウハウがつかめてないんです。慣れている構成作家やライターだったら、どの作業にどのくらいのリソースを食うかは見えていると思うので、うまくやりくりできると思うんですけど、まだ自分は手探りなもので、作業量が自分で見えないんですよね。何割の力で済む作業、これはどのくらいで終わる作業かという割り振りがわからない。一通り、今日はコレに全力! というかたちでやっちゃっているのが、あまりよろしくはないですよね。手際の悪いところが出ちゃってますね。

UJE - アニメの脚本、ゲームの脚本でそれぞれ進め方が違うから、作業量が見えないということなのでしょうか。

虚淵 - ニトロプラスでゲームを作る場合は、自分も会社のいち取締役であり、企画の言いだしっぺでもあるので、なんとでもなるんです。このぐらいのスケール、作業量、人数という設計段階から関わって、そこから作るので想像がつきやすい。ただ、アニメとなるといち脚本家ですので、他のスタッフとの意見のすり合わせをしたりとか、プロデューサーの意向を受けて内容を考えていったりとか、周りとの折り合いをつけつつ作業を進めて行く立場で、身の振り方を考えないといけなくなる。ゲームは周りを動かす立場で作れるけども、アニメの脚本になると動かされる立場となるのが慣れていないということですね。

UJE - 虚淵さんの作風は、重厚でバイオレンスなことで知られています。アニメファンに『まどか』が始まる前後、ご自身のツイッターアカウント(Butch_Gen)で先の展開を読まれないような発言をされていましたが、そうした行動は『まどか』監督の新房昭之さんたち、スタッフの意向があってのことだったのでしょうか?

虚淵 - スタッフの意向というよりは、自主的にしていた面が強いですね。新房監督は、自分にアニメらしからぬ脚本を求めていたようなんです。サブヒロインがすぐに死んでしまうという脚本によるサプライズというか。それを視聴者に仕掛けようと。しかし、そもそも監督自身は私がそういう方面で悪名を売っているのを知らなかったそうで、「やっば、俺1人で足引っ張ってるぞ」と(笑)。それが申し訳なかったですね。

UJE - 第3話でサブヒロインの巴マミが壮絶な死を遂げましたが、それに対する視聴者の反応を見ていて、虚淵さん自身はどう感じていましたか。

虚淵 - 死というか、極端に動く話というのがあまり受ける風潮ではないと思っていたので、そう ではない『まどか』が受けたのには、結構ビックリしてますね。変わらぬ日常が永遠に 続くみたいなスタイルのほうが…というか、エンターテインメントが基本的に癒しの時代 なのかなと思ったので。

UJE - スタッフから「キャラを殺さないで!」と声が上がったりしましたか?

虚淵 - あーありましたね。「このキャラもっと描きたいよ」とか。スタッフも愛着が湧いたようで…でも、マミさんは企画書の段階から死んでましたからね(笑)。「この子は何話で死にます」とカッツリ書いていたので、「すみません、それは台本会議のときに言って下さい」とお茶を濁しつつ…。脚本を変えることもなく最後まで完走できました。

UJE - ストーリー上必要なものだったら、キャラが死んでしまうことは仕方がないことなのでしょうか。

虚淵 - まあ、そうですね…。実際、ストーリーのプロットを考えている段階では、キャラの名前は考えていないですからね。どう生きて、どう死ぬかが決まった後で、自分はキャラの名前をつけるので。「まずキャラありき」で話をころがしていくやり方は、試しに1回やってみたりはしてるんですが、手馴れたやり方ではないですね。

UJE - キャラよりもストーリーのプロットを大事にされているんですね。

虚淵 - そうですね。キャラが死んでしまった瞬間に“終わる”というのは、自分の中ではピンとこないんです。本に始まりと終わりがあるのと同じで、たまたまそのキャラが死ななかったからといって、そのキャラが後日談で永遠に生き続けるわけではない。その逆もしかりで、物語の中で死を迎えたキャラであっても、キャラがその物語の中で消え去ってしまうわけではない。そのへんは結構、若い人と認識がずれているのかもしれません。死んだからこそ永遠になったキャラって相当いっぱいいると思うんですよね。『ジョジョの奇妙な冒険』のシーザー・ツェペリにせよ、『北斗の拳』のラオウにせよ、あの死に方があったからこそ永遠に生き続けていると。