Madoka Magica Online Story Quest 3-1
3-1-1 Before
Kaname Madoka | それで、さやかちゃん。今度のお休み、みんなで行くところは、もう決めたの? |
Miki Sayaka | んー、場所までは決まってないけど、夏だから海水浴で決まりでしょ。 |
Madoka | 杏子ちゃんもほむらちゃんも一緒に行くって言ってくれてるし。早めに準備しなくちゃね。
みんなでお出かけして遊びに行くなんて、初めてじゃないかな? 楽しみだねえ♪ |
Sayaka | あたしたち魔法少女同士って、いつも一緒にいるけど、それってほとんど魔女退治だけでしょう。
ようやく遊びの計画を立てたんだから、思いっきり楽しんじゃおうよ。 |
Madoka | さんせー! たしかに、わたしたちが戦うこと以外で集まるのって、このお茶会ぐらいだもんね。 |
Kyouko | で? そのお茶会なのに、マミのやつはどうしたんだ? 本当に今日は来ないのかよ?
せっかくのお茶会が、お菓子は市販のスナック菓子に、ティーパックの紅茶ってなんだよ。 |
Sayaka | マミさん、今日はなんだか用事があるからってメールが来てたよ。
いなくなってみて、マミさんの偉大すぎる存在を感じるわよねえ~。 |
Akemi Homura | ……巴マミに何かあったのかしら? |
Madoka | ほむらちゃん、どうかしたの? |
Homura | ……ちょっと、巴マミのことで最近気になることがあったものだから。 |
Madoka and Sayaka | 気になること? |
3-1-1 After
Sayaka | マミのことで、気になること? それってなんだよ? |
Homura | とくに証拠があるわけじゃないんだけど……最近、彼女の様子がおかしいような気がしてるの。 |
Kyouko | 様子がおかしい? |
Sayaka | あ!? そういえば、たしかにあたしにも心当たりがあるかも! ほら、まどかも言ってたじゃん。 |
Madoka | 学校での、あれのこと? ……たしかに。いつものマミさんらしくなかったかな? |
Kyouko | なんだよ、さやかにまどかまで。学校でマミに何かあったのか? |
Miki Sayaka | それがさ、最近学校で休み時間に視線を感じるときとか、振り返ると必ずそこにマミさんがいるんだよねえ。
最初は気のせいかなと思ったんだけど、目が合うとあわてて逃げて行っちゃうし。 本人隠れてるつもりみたいだけど、マミさん上級生だから、思い切り目立つんだよねえ。 |
Madoka | 今日なんて、学校が終わった後もわたしたちの後をついてきてたよね。
なんか、物陰に必死に隠れてるつもりみだいだったけど……。 |
Sayaka | 気になって直接その場で聞いたら、あわてた感じで「なんでもない。気のせいよ。偶然よ」って言うし。
あんな偶然ないっつーの。そのくせものすごく真剣に焦ってるから、あれ以上突っ込めなかったよ。 |
Sakura Kyoko | そういや、アタシもこの前マミの部屋で話してた時、いきなり真顔になっておっかなかったな。
「アタシの顔に何かついてんのか?」って聞き返したら、あせって話題を変えたりしたぞ。 |
Homura | どんな話をしたのかしら? |
Kyouko | たわいもない話だよ。テレビでやってた情報番組観ながら、旅行やスイーツ特集のこと話してただけさ。 |
Homura | スイーツ特集……? |
Madoka | あっ!? さやかちゃん、もしかしてマミさんの不審な態度の理由って、この前のあれが原因じゃないかな! |
Sayaka | ……あー、あれか……。 |
Homura and Kyouko | あれ? |
3-1-2 Before
Kyoko | おいおい、何があったか知らねーけど、せっかくの海水浴前なんだぜ。マミとの間に揉め事、起こすなよ。 |
Homura | そうね。せっかく佐倉杏子も楽しみにしてるイベント前、おかしな面倒事はなしにしたいわね。 |
Kyoko | べ、べつにアタシは楽しみにしてるわけじゃねーよ……。
そういうオマエこそ、よく来る決心したじゃねーかよ。 |
Homura | それより、まどか。巴マミとの間に何かあったの? |
Kyoko | あ、オマエ! 話を逸らしたな! |
Madoka | まあまあ、杏子ちゃん。えっとね、じつはね、この前のお休みの時の話なんだけど……。 |
3-1-2 After
Sayaka | それでね、その、恭介がさ、学校に復帰したじゃない? だから、記念にさ……そう、あくまで記念だよ。 |
Madoka | はいはい。ようするに、上条くんに何か学校復帰祝いのプレゼントを贈りたいのね?
さやかちゃんったら照れちゃって。かわいいー! |
Sayaka | こらー、何がかわいいだっ。まどかのくせに生意気だぞ。ひとをからかうんじゃないっ! |
Madoka | ごめんごめん。――それじゃあ、何をプレゼントするか考えなくちゃね。 |
Sayaka | そうなのよ。正直あんまり高いものはお小遣い的に厳しくってさ。 |
Mami | ふたりとも、何を話してるのかしら? なんだか楽しそうね。 |
Madoka | あ、マミさん。じつはですね、さやかちゃんが幼馴染の上条くんにプレゼントをあげたいって言ってるんです。
それで何をあげたらいいか考えてたんですけど……あ、そうだよ、さやかちゃん。マミさんに相談しようよ! マミさんなら、きっといいアイディアを出してくれるに違いないよ! |
Mami | 私のアイディア? どういうこと? お相手の男の子って、たしかさやかさんの……。 |
Madoka | そうなんですっ! だから、ここはいろいろ経験豊富なマミさんにプレゼントを決めてもらおうよ! |
Sayaka | そうかっ! たしかに年上のマミさんなら、こういうのに慣れてそうだもんね。 |
Mami | えっ!? 経験豊富って、あれ? ちょっと待ってくれる。私はそんな……。 |
Madoka | マミさんなら美人だし、しっかり者だし、女の子らしいし、男の子の欲しい物とかよく知ってるよ! |
Madoka and Sayaka | そうですよね、マミさんっ! |
Mami | (うっ! こ、これはまずいわ。まずいことになったわ……)
(だめよ流されちゃ。ここはちゃんと否定して、落ち着いて対処するのよ、私) |
Sayaka | お願いしますよ、マミさん。あたしじゃ何がいいのか見当もつかないんです。後輩を助けると思って~。 |
Mami | (――後輩を助けるっ!?) |
Madoka | 大丈夫だよ、さやかちゃん。マミさんはわたしたちの先輩だもん。きっと力になってくれるよ。 |
Mami | (――先輩! ああ、私はこの子たちの先輩……) |
Madoka and Sayaka | そうですよね、マミさんっ! |
Mami | ……。 |
Madoka | あれ、マミさん。どうかしたんですか? |
Sayaka | ……あ、もしかして、ちょっと図々しかったですか? あの、もし忙しいなら別に構わないんですよ。 |
Mami | ううん。そうじゃないわ。もちろん私でよければいくらでも力になるわよ。 |
Sayaka | 本当ですかっ! |
Mami | ええ。ただちょっと心当たりがありすぎて、少し考えていたの。
ほら。大切なことは何をあげるかじゃなくて、あげ方とか気持ちの伝え方が重要だから。 |
Sayaka | そっか! さすがマミさん。やっぱりあたしらとは違うなぁ。 |
Mami | 任せておいて。でも、ちょっとだけ私に考える時間を頂戴ね。 |
3-1-3 Before
Mami | あーん! 私ったら、どうしてあんなこと言っちゃったんだろうっ?
困ったわぁ。今さら男の子の欲しがる物なんて、皆目見当がつかないとは言えないし。 だけど、美樹さんたちの期待を裏切るわけにもいかないっ。 だって、私はみんなの“先輩”なんですもの! |
Kyubey | ……さっきから君は独り言を繰り返しているけど、――それで答えは出たのかい? |
Mami | ……キュゥべえ。それがさっきから考えてはいるのよ。いるんだけど……。
あーん、どうしよう!? 好きな男の子に何あげたらいいのかなんて、わかんなーい! |
Kyubey | やれやれ。君はさっきから同じ発言と行動をただ繰り返しているだけだよ。
しかも、行動といってもクッションを抱きかかえて、同じところを何度も転がってるだけじゃないか。 僕には何ら建設的思考と行動をおこなっているようには見えない。 |
Mami | あー、いまはそんな話、聞きたくなーい。なんとかして、私を助けてー! |
3-1-3 After
Mami | ホントに、ホントにどうしよう? もう時間もないし、次に美樹さんに会ったら絶対に訊かれるわ。
なんか思わせぶりなこと言っちゃったから、ありきたりなことはアドバイスできないし……。 あーん、キュゥべえ。やっぱり私を助けてちょうだい! |
Kyubey | 僕はそういう願いは叶えられないよ。わかってることだろう?
それより、誰か来たみたいだよ。 |
Kyoko | オーッス、マミ。遊びに来てやったぞー。 |
Mami | 佐倉さんか。……訪ねてきてくれるのは嬉しいんだけど、今はそれどころじゃないのよねえ。 |
Kyoko | なんだよ、ひとがせっかく来てやったって言うのにさ。
ま、いいや。それより何か食わせてくんないかな? いやー、朝から何も食べてなくて、腹減っちゃってさー。 |
Mami | もう。どうせ、それが目当てで来たんでしょう? ちょっと待ってて。いまパスタでも作ってあげるから。 |
Kyoko | やったー! マミのパスタは大好きなんだ。やっぱり持つべきものは料理のうまい先輩だよなぁ。 |
Mami | まったく調子がいいんだから。――ん、料理? そうだわ、料理という手があったわね!
そうね。これなら私でも大丈夫だし。ありがとう、佐倉さん! 私、ちょっと行ってくるわねっ。 |
Kyoko | え!? 突然なんだよ。おい、ちょっと待てよ。アタシのパスタはどーなんだよ!? |
3-1-4 Before
Sayaka | えー! 「恭介の好きなお菓子を作ってプレゼントする」んですかぁ!? |
Mami | そう。女の子らしさも出せるし、手作りの食べ物は、男の子ならきっと喜んでくれるわよ。 |
Sayaka | でも、あたしじゃマミさんみたいに上手に料理なんてできないですよ。 |
Mami | それは任せて。言った以上、私が責任を持って、お手本を作って教えてあげる。
美樹さんは、相手から好きなお菓子を聞いてきてちょうだい。そのあと、すぐ私がお手本を作るから。 |
Madoka | さっすがマミさん。手作りお菓子なんて素敵! 上条くんもきっとさやかちゃんのこと、惚れ直しちゃうよ。 |
Sayaka | そ、そっかな。そんなに、うまくいっちゃったりするかなぁ。 |
Mami | じゃあ決まりね。美樹さんは、さっそく相手の好みを調べてきてね。 |
3-1-4 After
Madoka | でも、さすがマミさんですよね。手作りお菓子のプレゼントなんて、わたしたちだけじゃ絶対に思いつかない。 |
Mami | えー、そうかしら? |
Madoka | はい! だって、わたしとさやかちゃんとじゃ、思いついてもお菓子自体がほとんど作れないですもん。
マミさんみたいに、お料理とか家事とか女の子らしいこと、なんでもこなせちゃう人ならでは、て感じです! |
Mami | もう鹿目さんったら。いつからそんなお世辞がうまくなったの? そんな褒めても何にも出ないぞ。 |
Madoka | お世辞じゃないです。わたし、マミさんみたいな素敵な先輩を持てて、本当に幸せなんです。 |
Mami | やだ、そんな素敵な先輩だなんて。照れちゃうじゃない。 |
Madoka | これであとは、さやかちゃんが上条くんの好みを聞き出すだけですね。 |
Sayaka | マミさーん、まどかー、恭介から聞き出せたよー! |
Madoka | やったね、さやかちゃん。で、上条くんはどんなお菓子が好きだって? |
Sayaka | うん、恭介はね、マカロンが好きなんだって。 |
Mami | ……マカロン。 |
Madoka | ふーん、マカロンかあ。めったに食べないけど、さすが上条くんだね。洋菓子が好きなんだ。 |
Sayaka | うん。私もそう思った。ほら、恭介って音楽やってるから、あっちのものに詳しいのよ。
あたしじゃどういう風に作るのか、想像もつかないけど、マミさんだったら大丈夫ですよね? |
Madoka | もちろんですよね、マミさん! ……って、あれ? マミさん、どうかしましたか? |
Mami | え!? あ、ううん! なんでもない。なんでもないのよ。
……そう、マカロン。マカロンねえ……。 |
3-1-5 Before
Kyubey | ……で、いまマミが作ろうとしているものが、そのマカロンなのかい? |
Mami | キュゥべえ、いまは話しかけないで! あーん、どうしても焼き上がりの生地がへこんじゃうなぁ。
マカロンって、お店であんなに高い値段でしか売ってないわけよね。こんなにレシピの注意事項が多いなんて。 どうしてうまくいかなのかな? やっぱり家庭用のオーブンだと火力が違うのかしら? それとも材料? もー、これじゃあ美樹さんに教えるどころか、お手本も作れないじゃない! ……まいったな。マカロンって焼いたら最低でも一日は寝かさないといけないし、とても時間が間に合わない。 ふえーん、先輩としての威厳がかかってるのにぃ。なんでよりによって、こんな難しいオーダーが出るよのぉ。 うぅ、どうしよう? このままじゃまずいわ。絶対にマカロンなんて完成しない。 かといって、いまさらになってできませんなんて、美樹さんたちに絶対言えない……。 |
Kyubey | やれやれ、どうやら僕はここにはいないほうがいいみたいだね。もうすぐ、まどかたちが来るのかい? |
Mami | (んー、どうしよう、どうしよう、どうしよう……) |
Kyubey | これは話しかけても無駄なようだね。それじゃあ、僕はまどかたちでも迎えに行くとしよう。 |
Mami | よし! こうなったら、なりふりはかまってられないわ!
だって、だって……。 私は、可愛いあの子たちの、頼れる先輩なんですものっ! |
3-1-5 After
Madoka | でも、マミさんがいてくれて本当によかったね、さやかちゃん。
あのあと、パパに聞いてみたんだけど、マカロンって作るのすごい難しいんだって。 |
Sayaka | まどかのパパが難しいって、そんなに厄介なの? |
Madoka | うん。作り方のレシピはあるらしいんだけど、いざ作るとなると一般人にはかなり難しいんだって。 |
Sayaka | へえ。じゃあさ、もしかしたらマミさんでも作れなくて、いま頃すごく困ってたりして? |
Madoka | やだ、さやかちゃんったら。変なこと言ってないで、早くマミさんとの待ち合わせ場所に行こうよ。 |
Sayaka | なーに、約束の時間には余裕があるから大丈夫。それよりマミさんへのお礼は何買って行こうか? |
Madoka | そうだね。お菓子作ってもらってるのに、お菓子を買っていくわけにいかないしね。何にしようか? ……あれ? |
Kyubey | やあ、まどかにさやか。 |
Sayaka | キュゥべえ? どうしたの、こんなところにいるなんて。マミさんのところにいるんじゃないの? |
Kyubey | それがマミの家にいても邪魔者扱いされちゃってね。だから、君たちを迎えに来たのさ。 |
Madoka | マミさんがキュゥべえを邪魔に? 何かあったの? |
Kyubey | 事情はなんとなくわかるんだけど、それは僕の口からは言えないね。本人に会って確認すればいい。 |
Sayaka | なにそれ? |
Madoka | ねえ、さやかちゃん。あれ見て。あれってマミさんだよね? |
Sayaka | 本当だ。何してるのかな? あそこって有名な洋菓子屋さんじゃん。何か買ってるみたいだけど。 |
Mami | さて、美樹さんへのお手本用のマカロンは、これでよし、っと。
マカロンなんだから色とりどりにしたいけど、やりすぎるとまずいわよね。これ以上の失敗は許されないわ。 もし美樹さんに、「この色、どうやって作るんですか?」なんて聞かれたら、答えられなくなるし。 |
Sayaka | あたしがどうかしたんですか? |
Mami | み、美樹さんっ! それに鹿目さんも! やだっ、どうしてここにいるの!? |
Sayaka | あたしたちはマミさんと会う前に何かお礼でも買っていこうかと思って。早めに会ってたんです。 |
Madoka | それよりマミさんこそ、こんなところで何をしてるんですか? |
Mami | えっ!? えっと、えっと、その……。 |
Madoka | ……マミさん。いま買ってるそのお菓子……マカロン、ですよね? |
Mami | あっ!? えっと、そのっ、これはその……。 |
Madoka | いま頃、市販のマカロンなんて買ってどうするんですか? |
Sayaka | あー? もしかして、本当はマカロンがうまく作れなくて、市販品でごまかそうとしてましたね? |
Mami | !?! |
Sayaka | なーんちゃって。ごめんなさい、マミさんに限ってそんなせこい手を使うわけないか―。 |
Madoka | もう、さやかちゃんったら。本当に失礼だよー。ねえ、マミさん。……あれ? ま、マミさん?
ど、どうしたんですか、マミさん? さっきから顔色が悪いですよ。 |
Mami | (なに!? なんで!? なんで、私がマカロンが作れなかったことを知ってるの?!?) |
Sayaka | ま、マミさん……。ほ、本当にどうしちゃったんですか? 具合でも悪いんですか……? |
Kyubey | 本当だ。マミ、君はいわゆる「動揺」をしているようだけど、大丈夫かい? |
Mami | (キュゥべえ!? どうして美樹さんたちと一緒にいるの……あっ!?!)
キュゥべえ!? さては、あなた。美樹さんたちにマカロンの失敗のこと、しゃべったわね! |
Kyubey | ……なんのことだい? |
Mami | ひどいわ、キュゥべえ! 私がちょっと相手にしなかったからって、みんなに言わなくてもいいじゃない! |
Kyubey | ……すまないけど、マミ。どうやら君は何か誤解しているようだ。そして……。
その誤解によって僕は何も影響を被らないが、今の状況からして君にはかなりの失言だと思うよ。 |
Mami | し、失言? ……って、あっ!? |
Madoka and Sayaka | ま、マミさん……。 |
Mami | 美樹さん……。鹿目さん……。あ、あの、これは、その……。 |
Madoka and Sayaka | ほ、本当に、マカロン……。失敗してたんですね……。 |